近年では健康や環境への意識の高まりに伴い、オーガニックな製品の需要が広がっている。ところが、有機ワインに関しては、世界各地でなかなか普及が進まなかったという。本記事はその原因を検証し、新規カテゴリーの創出に伴う課題を考える。
あなたが有機(オーガニック)ワインを最後に飲んだのはいつだったか思い出せないならば、他の多くの人々も同様である。全体で見れば、世界のブドウ畑で有機栽培をしているのは5%に満たない。米国は世界最大のワイン消費国だが、有機ワインは総販売量のわずか1%だ。
世界の有機ワイン市場は、きわめて規模が小さい。たくさんの有機ブドウ栽培者とワイン醸造業者が半世紀にわたり、有機ワイン市場拡大のために献身的な努力を重ねてきたにもかかわらず、成果は限定的だったのだ。
かたや、野菜や牛乳、茶といった他の多くの有機商品は、少なくとも裕福で健康志向な都会の人々の間で広く消費されるようになった。何がこの違いをもたらしたのだろうか。
筆者らは、他の有機商品への需要が増加しているにもかかわらず、有機ワインが成長に失敗した経緯と原因を調査した。歴史的考察と多数のインタビューを通じて明らかになったのは、有機ワイン市場の初期の失敗によってマーケティング上の問題がいくつか生じ、業界がいまなお、それらを克服できずにいるという事実である。
一方で、関連分野である「バイオダイナミックワイン」の最近の成功が、有機ワイン市場の発展の道筋を示していることもわかった。