GEがダウ平均から外れたことは話題を呼んだ。GEにいま、何が起きているのか。戦略のエキスパートであるロジャー・マーティンは、物言う投資家の存在と、顧客の価値につながらない合併・買収・分離という「有害な組み合わせ」が問題だと指摘した。これは、他の大企業にとっても他人ごとではないという。
ゼネラル・エレクトリック(GE)は先頃、ダウ平均の創設時からの構成銘柄という、長きにわたる栄誉ある座を外され、競争力の急落に見舞われているようだ。
この展開は、今日の企業社会全体を通じて見られる2つの影響力を如実に物語っている。すなわち、アクティビスト投資家と、戦略家を装って合併・買収を進める輩だ。彼らは思慮分別がないが、資金は潤沢に擁している。
2015年10月25日、アクティビスト・ヘッジファンドであるトライアンが、GE株への25億ドルの投資を発表し、株主の上位10社に入った。このときから、GEの凋落に拍車がかかる。発表時のGE株は25.47ドル、配当は1株あたり0.92ドル。トライアンは、GE株は同社の支援下で2017年までに40~50ドル程度に上がるだろうと宣言し、トライアンの共同創業者エド・ガーデンを取締役に迎えなければ委任状争奪戦を仕掛ける、と脅した。
2017年6月、長きにわたりCEOを務めたジェフリー・イメルトが、容赦のないトライアンと株主の圧力の下で辞任し、ジョン・フラナリーが後任となる。その4ヵ月後、ガーデンが取締役会に加わった。
イメルトの時代には、合併・買収・事業分離(MA&D)に頼った戦略が主力であった。最近の例では、2016年、GEの石油・ガス部門とベーカー・ヒューズとの合併があるが、これは惨憺たる結果に終わった。2017年の秋には、フラナリーの下で、MA&Dは当然のようにGEの再生戦略のツールとなった。フラナリーは、配当を半分に減らすという驚きの発表とともに、事業ポートフォリオの見直しを宣言。GEの伝統的な事業の多くが分離の検討対象になるとされ、すでに電球、家電、機関車などの事業から撤退している。