経営管理能力の重要性を過小評価してはいけない
ビジネススクールの学生は、経営管理能力は模倣されやすいので、競争の基盤にはならないと教わる。厳しい競争環境にあって、業務効果(オペレーショナル・エフェクティブネス)、すなわち他社と同じことを極めてうまくこなすことは、持続可能な優位への道筋ではない。
この考え方に従うと、他社に先を越されないためには競合と違うことを行い、自社固有の戦略的ポジションを確保しなければならない。それこそが経営陣が注力すべきことであり、組織運営や計画実行といった基本業務はミドル以下のマネジャー層に任せておけばよい──。
マイケル E. ポーターは、1996年に本誌に掲載された独創的な論文「戦略の本質[注]」で、戦略と業務効果の違いを明確に論じている。その中で説かれた戦略と戦略家の役割の分析はたしかに影響力があるが、我々の研究から明らかになったのは、シンプルな経営管理能力はポーターが論じているよりも重要であり、模倣されにくいということだ。