リーマンショック後にV字回復を果たす

編集部(以下色文字):2008年秋のリーマンショック後、主力であった二輪車の需要が急減し、2009年12月期には2161億円の最終赤字を計上します。当時、どのような心境だったのでしょうか。

(以下略):欧米で売れない、在庫が積み上がる、工場の生産能力が過剰になるという、大変な状況でした。欧米を中心に先進国の需要は半減して壊滅状態。歴史的な超円高に見舞われ、インド事業は低迷が続いており、米国では大きな訴訟[注1]も抱え、言わば「四重苦」ともいえる状況でした。

 そんな中、梶川(隆・当時社長)から「再建案を練ってくれ」と命じられました。私に声がかかったのは、海外駐在が長く、海外の市場も生産現場もよくわかっていたほうだったからだと思います。