一九八一年に始まったIBMのPC事業は、当初から製造は外部に委託された。これ以降、製造アウトソーシングは、玩具、衣料、靴、ビール、医薬品などの日用品にまで拡大し、現在では自動車にまで広がっている。受託製造業者を使えば、完成品メーカーはコストを削減でき、付加価値の高いR&D、営業やマーケティングなどの活動に専念できる。しかし、端緒を開いたIBMのPC事業が、二〇〇五年に製造委託先である中国企業の聯想集団に買収されたように、委託する完成品メーカーと受託業者との関係も変容してきている。最近では、みずから最終市場に参入し、飼い主の手を噛むような挙に及ぶ、野心的な受託製造業者も現れている。賢明な完成品メーカーはそうした危険を管理し、逆手に取る術を学ばなければならない。