企業の短命化が進む一方で、産業界の外に眼を向ければ、100年以上存続する組織は多い。筆者らは、NASA、ロイヤル・アカデミー・オブ・ミュージック、ニュージーランド・オールブラックスなど、ビジネス以外の分野で著名な7つの100年組織に焦点を当て、彼らが成功を続ける秘訣を明らかにした。そこから、企業が生き残るために自問すべき12の質問を導いた。
米国のS&P500企業の平均寿命は、過去80年間で80%短くなっている(67年から15年へと短縮)。また、英国のFTSE100企業の76%が、過去30年の間に消滅している。
これとはまったく対照的に、ビジネス以外の部門では、100年目を迎えてなお、永遠に存在しそうに見える組織もある。それはどのように実現しているのだろうか。また、企業はそこから何を学べるだろうか。
我々はこれらの疑問に答えるために、過去100年間にわたって同業者を上回る業績を上げ、誰もが敬意を抱く、7つの著名な100年組織を特定した。
芸術界からはロイヤル・アカデミー・オブ・ミュージック(RAM:英国王立音楽院)、ロイヤル・カレッジ・オブ・アート(RCA)、ロイヤル・シェイクスピア・カンパニー(RSC。前身はシェイクスピア・メモリアル・シアター)。教育界からはイートン・カレッジ、科学界からはNASA(当初は米陸軍の一部)、スポーツ界からはニュージーランド・オールブラックスと英国自転車連盟に着目した。
そして5年間を費やして、これらの組織が何を、どのように実践しているかを理解しようと試みた。彼らが日々どのように過ごしているかを知るために、それぞれの組織の懐に入り込み、そこで働く(または働いていた)人にインタビューし、仕事中の彼らを観察し、当該組織に関するあらゆる読み物に目を通した。
驚くべきことに、100年組織は分野の違いにもかかわらず、どこも非常に似通っており、その行動は一般的な常識に反するものであった。
調査結果が形を成し始めると、我々は、成功を収めている企業84社537人のリーダーとそれを共有し、これらの企業が100年組織から何を学べるかを検証した。その一部を挙げると、3M、アップル、BBC、BMW、シルク・ドゥ・ソレイユ、ダイソン、GE、グーグル、ハムリンズ、HSBC、ジャガー・ランドローバー、ジョンソン・エンド・ジョンソン、エムアンドシーサーチ、マッキンゼー、マイクロソフト、モルガン・スタンレー、プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)、ロールス・ロイス、ユニリーバ、ヴァージン・グループ、WPPグループなどである。
そして我々は、組織が成功を持続するために役立つ12の質問を見出した。
ほとんどの事業会社は、顧客への奉仕、リソースの所有、効率と成長に重点を置いている。だが、100年組織はそうではない。社会の形成、専門家人材の共有、偶発的な出来事の創出に努め、拡大ではなく向上を重視している。確固たる核があり、過激なまでに伝統を守っているが、自組織に破壊的変化をもたらそうともしている。そしてそれこそが、これらの組織を前進させる原動力となっている。
まずは、100年組織がこれをどのように実現しているかを説明し、その後に12の質問に着目する。