素晴らしいプランを立て、それを着実に実行したとしても、ある大切なことが抜けていては、いかなる組織変革も失敗に終わる。それは、従業員に対する「共感」である。過去の研究からも明らかにされているように、変革を率いるリーダーには、従業員と親身にコミュニケーションを取り、彼らに共感を示すことが欠かせない。本記事では、それを実践する3つの方法が示される。
私が現在一緒に仕事をしているCEOは、企業戦略の見直しに取り組んでいる。顧客の需要に対してより的確に対応するためと、財務基盤の強化が目的だ。大きな変革になりそうだ。提供するサービスから組織構造にいたるまで、企業運営のあらゆる側面に影響を与えることになる。
このCEOおよび経営幹部チームとコミュニケーションプランをじっくり考えるために話し合ったとき、私が尋ねたのは、変革の内容ではなく、同社の従業員がこれから先のことをどう受け止めるだろうかということだった。
まず、経営幹部チームがどう受け止めているかを話してもらった。コミュニケーション・コンサルタントとして、私は何度も同じことを目の当たりにしてきた。それは、変革の期間を通じて、情報を従業員にどのように伝えるかのほうが、どの情報を伝えるかよりも重要だということだ。組織変革のニュースを伝えるときに、メッセージの受け手(オーディエンス)への共感を欠くと、その変革を失敗させる原因になりかねない。
組織変革に関する研究によれば、リーダーたちが一様に同意する見解がある。それは、「成功裏に変革を率いたければ、親身にコミュニケーションを取ることが必須」ということだ。
だが現実には、ほとんどのリーダーはその方法を知らない。実際、私がCSO(最高戦略責任者)を務めるコミュニケーション・コンサルティング会社のデュアルテが、主要企業の経営幹部200人超を対象に実施した調査によれば、回答者の69%が「変革を計画中あるいは現在取り組んでいる」と回答した。だが残念ながら、その50%は「変革についてチームが抱いている心情を、十分には考慮しなかった」と回答した。さらに悪いことには、約半数が「『直感で行動する』アプローチで、変革に取り組んだ」と回答した。
組織変革を成功させたいと望む企業リーダーであれば、一致団結してその実現に貢献したいとチームに思わせる必要がある。以下の戦略は、従業員の視点をよりよく理解する助けになりうる。