藤井 3社に共通するのは、SDGsが企業経営に問いかけている、経営の「土台」から含めた変革の必要性を認識し、中期経営計画の策定や事業ポートフォリオ戦略、各事業の競争戦略やKPI設定にサステナビリティを埋め込んでいる、あるいは埋め込もうとしている点で多くの企業にとって参考になるものだと思います。
世界で最もサステナビリティで先進的な企業の1つであるユニリーバも「我が社はCSV企業だ」とは特段言っていませんし、先進的なCSV経営を行っているそのほかの企業も、サステナビリティが自社の競争優位につながることを経験から認識し、SDGsやCSVを特別なものという位置付けでオントップに取り組むのではなく、事業活動の中に埋め込み当たり前のようにCSVに取り組んでいます。
日置 競争優位性を構築するうえでは、自社に有利なルールをいかに構築していくかも大きな論点です。ルール形成や交渉スタイルにおいてプロアクティブな欧米企業に比べて、法規制や外圧がないとなかなか動かない日本企業に対して、WWFジャパンの筒井さんからアドバイスをお願いしたいと思います。
筒井 日本企業にとって、日本は世界に数多くある市場の一つに過ぎません。自社の製品が受け入れられる市場はどこにあるのか、広く目を凝らして探し出すべきです。

事務局長
筒井 隆司氏
ルールを変えることによって、自社の製品がより大きな価値を提供できる市場があるのであれば、日本に拘泥するのではなく、世界に打って出て、橋頭堡をつくっていったほうがいい。その繰り返しが、グローバル企業になるということではないでしょうか。
また、ある市場で勝っていたとしても、そこに安住することなく、次の市場をどこに求めるのか、常に考えていくことも重要です。そのために、欧米企業では数多くの渉外担当者、ロビイストを採用しています。しかも、社長直轄で具体的な指令が下りるので、優れた交渉力を持っています。
日本企業は政府や役所との関係に配慮し、業界団体で交渉するというスタイルが中心のため、どうしても欧米企業に後れを取るところがあります。ここは改善の余地があると思います。