楽観主義は、職業人にとって有益な投資である。だからこそ私は、年間120日以上も出張し(5歳に満たない子ども2人を含めた家族を連れて。そう、私は楽観主義者なのだ!)、働く人々が楽観性をみずから評価し、強化できるようお手伝いをしている。楽観性とは、まさに筋肉のようなもので、鍛えることが可能なのだ。

 以下、私が、楽観性の強化を助けるべく組織で基調講演を行う際に紹介する、ポジティブな習慣をいくつか示そう。

 ●うまくいっていることに着目する

 1日を感謝の気持ちから始めよう。朝すぐにスマートフォンを手に取って記事の見出しやメールをチェックするのではなく、メディアをシャットアウトする。そして、感謝したい物事と、その理由を3つ挙げてみよう。実験では、この毎日2分間の習慣により、わずか2週間後には高齢の悲観主義者が以前よりも楽観主義的になった

 ●完璧さではなく、進捗を求める

 計画を完璧にこなすまで待っていてはいけない。職場で役割の変更を模索しているときであれ、新たなアイデアを推し進めようとしているときであれ、完璧を求めることは最大の敵となりうる。

 有意義な目標を設定し、その達成に向けて測定可能な最小のステップを踏もう。それが成功すれば、脳が進捗を認識して活性化され、引き続きポジティブな行動が促されるだろう。

 ●他者と有意義な形でつながる

 毎日異なる新しい相手に、2分で書ける短いメールを送り、称賛や感謝の意を表そう。これは私が最も好んでいる習慣だ。

 このようなメッセージは、受け手となる家族や同僚や友人の1日を明るくするものだが、自分にとっても効果がある。自分を思いやってくれるさまざまな人について、脳がより深く認識するようになるのだ。社会的つながりは幸福の最大の要因であり、楽観主義と強力な相関関係にある。

 これらの習慣を採用する前と後で、我々が作成したサクセス・スケールを用いて、自分がどの程度楽観的かを測定してみよう。上述の小さな習慣は、ストレスと無縁の日を毎年145日取り戻させてくれる可能性がある。それが仕事の成功と幸福をも促してくれることは、言うまでもない。


HBR.ORG原文:The Financial Upside of Being an Optimist, March 12, 2019.

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ミシェル・ギラン(Michelle Gielan)
全米ネットワークCBSのニュースキャスターから、ペンシルバニア大学ポジティブ心理学リサーチャーに転身後、『悪い知らせをうまく伝えるには?』でベストセラー作家に。現在、オンライン・ニュースサイト「ハフィントンポスト」の創立者アリアナ・ハフィントンとともに、人を変える力のあるポジティブなストーリーが成功へのエネルギーになるというリサーチに取り組んでいる。