チームワークという言葉は誤解されていないだろうか。和気あいあいと働くことだと思われている節があるが、それは解決すべき問題を見過ごしている、あるいは先送りしているにすぎない。創造的なチームは緊張感にあふれ、生産的な対立が常態化している。メンバー間の対立を回避するのではなく、対立はあるべきものとして捉える、真のチームワークを実現するための3つの問いが示される。
社員の幸福と意欲を高めることに尽力している組織で、リーダーたちが極端に対立を避けるようになっている――そんな経験はないだろうか。
私は、そうした事例をよく目にする。たとえば、会議でほんのわずかでも不愉快なことが持ち上がり、誰かが「それについては別個に話そう」と提案したら、チームが対立を避けている証拠だ。当然ながらそれは、対立回避文化のもう1つの特徴である「会議に次ぐ会議」という現象を引き起こす。
次のような例もある。誰に対しても「ノー」と言うことを恐れるため、優先事項リストが増えるに任せてしまう経営幹部。非生産的なチームメンバーに対処するのではなく、不平等で効率の悪い次善策をつくり出してしまうマネジャー。互いへの不満や恨みを解消しようとせぬまま、悪化させてしまう社員たちなどだ。
チームが対立を避けることは驚くに値しない。社員の健康と幸福が奨励される現代において、対立はエンゲージメント(意欲や愛社精神)の対極にあるものと見なされるようになった。
しかし、それは間違っている。対立を避ける企業は、むしろ深刻なエンゲージメントの問題を抱えていると私は考えている。