経営者との間のラストワンマイル問題
データサイエンスが急速に成長している。過去5年間、企業は何十億ドルもかけて、最も優秀なデータサイエンティストの確保に努めてきた。その目的は、事業を立ち上げ、何ゼタバイトものデータを集め、それを推論マシンにかけて膨大なノイズの中からシグナルを見つけ出すことである。この方法は、ある程度は機能している。データによって、人々とさまざまな領域──言語翻訳から小売り、医療、さらにはバスケットボールに至るまで──の関わり方が変化し始めている。
しかしサクセスストーリーが語られる一方で、多くの企業はデータサイエンスの価値を引き出せていない。強力な分析力を持つ優れたオペレーションでさえ、その知見を活用できていない。データサイエンスの成果を意思決定者に説明する時に、相手が理解するまでの最後の一歩、いわゆる「ラストワンマイル」が届かないのである。
カグルがデータサイエンティストを対象に行った2017年の調査で、7000人以上が回答したある設問によると、彼らの「仕事上の障害」の上位7つのうち4つが、テクニカルな問題ではなく、このラストワンマイルに関するものだった。すなわち「経営面・金銭面の支援がないこと」「答えるべき明確な問いがないこと」「成果が意思決定者に活用されないこと」「他者にデータサイエンスを説明すること」である。