データ分析の成功のカギは
現場の力をどう引き出すかだ
「台所と洗面所のお湯が出ないということですね」
コールセンターに連絡が入った際、その顧客が使用している機器の状況や電話でのやり取りから、保守センターの端末には、故障の原因となっている可能性の高い順に、5つほどの部品が表示される。現場のメンテナンススタッフは、それらの部品を持って修理に向かうことで、一度の訪問で修理を済ませられるケースが増えた。それにより、修理の当日完了率は、ガス機器全般で8割から9割強に向上。部品交換の必要なケースが多い給湯器修理でも5割から7割まで高まった。
筆者は大阪ガスに27年間、会社員として勤め、うち18年間にわたりデータ分析専門チームに従事。最後の7年間はデータ分析の専門組織を立ち上げて、定着させるという役割を担ってきた。「データサイエンティスト」という言葉がない時代から、データ分析の仕事を部門横断的に行ってきた[注]。