ビジネス界ではマインドフルネスの有効性が広く認められており、米国を中心に大企業でも取り入れられている。従来は個人にもたらす効果のみに焦点が当てられていたが、筆者らは、チームでマインドフルネスを取り入れるメリットを実証した。なぜマインドフルネスは有効なのか、どうすればチームで実践できるのだろうか。


 多様な経歴とスキルを持つメンバーが集まるチームに、極めてタイトなスケジュールの難しいプロジェクトを任せたとしよう。さて、何が起きるか。おそらく、対立(コンフリクト)が生じるだろう。

 対立は時として、生産性を高める効果を持つ。互いにアイデアを出し、共通のゴールに向けて最も効果的な道を模索しているチームは、しばしば懸念材料を表面化させ、各人各様の視点からの見解を提供し合う。このプロセスが、よりよい成果の達成につながり、その成功を共有する感覚を生むことがある。たとえ、全員の意見が一致しない場合でも、だ。

 しかし、健全な「仕事上の対立」のメリットは、いとも簡単に霧散する。対立は個人的な色彩を帯びるようになり、メンバー同士が互いの言動にいちいち腹を立てるようになり、意見の不一致を攻撃としてとらえるようになる。

 こうした個人的な摩擦を放置していると、「リレーションシップ・コンフリクト」と呼ばれる感情の対立に至り、組織に大きな害をもたらすことになりかねない。あらぬ噂を立てたり、仲間外れにしたり、軽んじたりすることで同僚に仕返しをし、互いの足をすくおうとするのである。

 このような有害なタイプの不協和音は、チームに大きな弊害を及ぼすことが示されており、多くの企業がそれを軽減しようと多大な時間と資金を投じている。

 ところが、その際に用いられる戦略には効果が立証されているものは少なく、満足な成果が得られないケースがあまりにも多い。こうして慢性化した対立は、従業員の有効性(effectiveness)やモチベーション、幸福感に負のインパクトを与え、離職率を高め、最終的には、企業の収益減少につながりかねない。

 チームがこの段階に達してしまう前に、リーダーにできることは何だろうか。