グーグル、アマゾン、エアビーアンドビー、ウーバー……いまやプラットフォームは最も重要なビジネスモデルの一つである。ただ、圧倒的な勝利を収める企業が存在する一方で、あっという間に消滅する企業も多い。筆者らによる250社超の分析により、プラットフォームが失敗する4つの理由、そして成功に必要な5つのポイントが示される。
いまやプラットフォームは、21世紀で最も重要なビジネスモデルの一つとなっている。我々は、新著 The Business of Platforms の中で、すべてのプラットフォームを2つのタイプに分けた。
1つ目は、「イノベーション・プラットフォーム」である。中核となる製品や技術に、第三者企業が補完的な製品やサービスを付加できるというモデルだ。顕著な例としては、グーグルのアンドロイドやアップルのiPhoneといったオペレーティングシステムのほか、アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)が挙げられる。
もう1つのタイプは、情報、物品、サービスのやり取りを可能にする「トランザクション・プラットフォーム」である。その例には、アマゾンのマーケットプレイス、エアビーアンドビー、ウーバーなどが含まれる。
世界で最も時価総額の高い6社のうち5社が、これらのタイプのプラットフォームを軸に構築されている。我々はまた、データを20年間さかのぼって分析した結果、フォーブス・グローバル2000社の中でプラットフォーム・ビジネスを行う上場企業43社を特定した。
これらのプラットフォームは、非プラットフォーム企業と同じ水準の年間収益(約45億ドル)を上げていたが、従業員数は後者の半数にすぎない。そして営業利益は2倍であり、時価総額と成長率は断然に高かった。
しかし、成功するプラットフォーム・ビジネスを創出するのは、さほど容易ではない。
我々が「プラットフォーマニア」(プラットフォーム熱)と呼ぶ状態は、土地の争奪と似ている。先行者となって新たな領分を確保し、ネットワーク効果を活用し、参入障壁を築かなければならない――企業はそう感じているのだ。ウーバーによる、世界中のあらゆる都市を制覇しようという猛烈な努力や、エアビーアンドビーの、ルームシェアを世界的規模で可能にしようという欲求は、近年で最も顕著な2つの例である。
問題は、プラットフォームは驚くべき速さで失敗するという事実だ。失敗の根源を突き止めることで、マネジャーは明らかな過ちを回避することができるはずだ。
我々は、プラットフォームがなぜ、どのようにして失敗するかを理解するために、過去20年間に成功を収めた43社のプラットフォームと競争して失敗に終わった米国のプラットフォームを、できるだけ多く突き止めようと試みた。そして209件の失敗から、プラットフォームが悪戦苦闘する理由について、いくつかの基本的な教訓を得ることができた。
失敗したプラットフォームの平均寿命は、たった4.9年であった。ギグエコノミーのプラットフォームの多くは、2~3年以内に崩壊しているが、それは十分なユーザーや財源を持たないからだ。十分な資金の必要性を考えると、買収されたり、大企業やコンソーシアムの一部となったりした企業よりも、独立系の企業のほうが短命の傾向にあることは、驚くに値しないだろう。
独立系の企業の平均寿命は、わずか3.7年である。買収された企業のほうが、一般に財務体質が良好で、より長期間操業できていた(平均7.4年)のに対し、大きな組織の一部となった企業の寿命は平均値に留まっていた。
我々は、最も一般的な過ちを次の4つのカテゴリーに分けた。(1)市場の片側における不適正な価格の設定、(2)ユーザーやパートナーとの信頼関係構築の失敗、(3)競争からの時期尚早な撤退、(4)遅すぎる参入、である。