今日、職業や部門は、ジェンダー間ではっきりと分かれている。たとえば、女性は技術系のキャリアに就く可能性が低く、男性はジェンダーの役割の固定観念から看護師になりたがらない。職業全体にわたってジェンダーの平等な進出が進むことこそ望まれているものの、現在の分断状況から推測することで、仕事の奪われ方のジェンダー格差を調べることができる。

 自動化が仕事を奪う可能性を推定するために、我々は、自動化技術の技術的な実現可能性と、それが採用されうる可能性に着目した。また、技術的進歩がもたらす生産性の伸びが要因の一つとなり、所得と消費、そして投資の高まりに火がつき、その結果として創出される可能性のある仕事についても調べた。次に、ジェンダー間の差に着目して、これらの潮流が男性と女性に及ぼす影響の違いを突きとめた。

 女性が奪われる仕事の半数超(52%)はサービス業や事務仕事であるのに対し、男性が奪われる仕事の約40%は機械作業や職人仕事であると、我々は予測している。

 女性と男性は、別々の部門で雇用拡大のチャンスの恩恵を得る立場にいる。医療は、世界の人口の高齢化につれて世界中で急成長しており、女性にとっては雇用を提供してくれる豊饒な部門だ。この部門だけでも、女性の仕事における需要の4分の1を占めうる。

 意外かもしれないが、男性の場合には依然として、製造部門が新たな雇用の25%を占めると思われる。これは、自動化がインドのような新興経済国に影響を及ぼす速度が比較的緩慢であると思われるためだ。これらの国々ではいまなお、機械労働のコストよりも製造業の賃金のほうが低い。

 自動化とAIは、男性と女性に同様にチャンスをもたらす。ただしそれは、彼らが劇的な変動期を通じて道を切り拓ける場合に限られる。

 我々の調査によれば、自動化のペースによっては、世界中で4000万~1億6000万人の女性(今日雇用されている女性のほぼ4人に1人)が職を変わる必要を迫られると考えられる。雇用状態を維持し、新たな仕事のチャンスをつかむためには、往々にして、より高度なスキルを要する役割へとシフトする必要があるだろう。

 男性も同等の数が職を変わる必要に迫られるだろうが、女性にとって問題となるのは、自動化による新たな課題が、従来の障壁に積み重なることだ。従来から存在した障壁とはすなわち、労働市場におけるジェンダー平等が一向に進まずに足かせとなってきた障壁である。

 また女性は、テクノロジーの新たな波から創出される新しい種類の仕事についても、男性と比較して不利な立場にいると考えられる。

 たとえばソーシャルメディア・マネジャーやデータサイエンティスト、ライドシェア・アプリの運転手といった仕事は20年前には存在せず、デジタル革命の結果として登場した職業だ。米国におけるエビデンスによれば、近年新たに創出された、こうした職業の60%超が男性主体の分野のものである。

 自動化の時代には、男性も女性も、これまでにも増して適切なスキルを備え、動きやすさと順応性を必要とし、テクノロジーにも通じている必要がある。目の前にすでに立ちはだかる障壁ゆえに、女性は以下の3つの面すべてで、男性に後れを取っている。