ネットフリックスが世界的な成功を収めていることに、もはや疑いの余地はないだろう。ただ、アマゾン、アップル、ディズニーなどのライバルの台頭は顕著である。また、同社の会員数は伸び悩み始めてもいる。こうした状況を打破するために、「マルチサイド・プラットフォーム」で有名なアンドレイ・ハジウ氏は、ネットフリックスがプラットフォーマーになることを提案する。


 ネットフリックスがマルチサイド・プラットフォームになることで得るものは大きい。

 ネットフリックスは現在、コンテンツの購入や制作を業務とし、同社が全面的に統制する価格と条件(月額制のサブスクリプションモデル)で、コンテンツへのアクセスを消費者に提供している。これは、ユーチューブのようなプラットフォームとは異なるモデルだ。ユーチューブでは、無数のコンテンツプロバイダーが、一定のコンテンツガイドラインのほかには、ほとんどユーチューブの干渉を受けることなく、それぞれが統制する価格で直接、ユーザーに販売している。

 ネットフリックスのモデルが、これまで成功してきたことは疑いようもない。だが、コンテンツの獲得と制作をめぐる熾烈な戦いは、これまで以上に高くつくようになり、ライバルも増えている(アマゾン、アップル、ディズニー、グーグルなど)。こうした企業はみな、デジタルのダウンロードサービスやストリーミングサービスをすでに実施しているか、今後、参入する予定だ。

 そのうえ、ネットフリックスの会員数は伸び悩んでいる。この失速は投資家を失望させ、ネットフリックスの株価評価は2018年7月の1ヵ月間で15%以上、下落した

 このような状況を踏まえると、DHBR2018年6月号に私とエリザベス・アルトマンが寄せた論文「自社をプラットフォーマーに転換する法」で説明したモデルの一つを活用することで、ネットフリックスがプラットフォームに移行することはできるし、そうすべきことは明白に思える。 

 なぜなら、ネットフリックスの大規模な会員基盤(世界に1億3000万人)とコンテンツ配信のインフラは、多くのサードパーティにとって非常に魅力的だからだ。このサードパーティには、動画コンテンツのプロバイダーのほかに、クラウドゲームや他のサービスのマーケターやディベロッパーも含まれる。