投資の世界に国境はなく、自社の株主に海外ファンドや外国人がいる企業はまったく珍しくない。最近では電話会議で決算報告を行う企業も増えてきたが、その場合、報告で用いられる言語は英語であろう。ただ、CEOやCFOが英語を母語としないケースも少なくない。筆者らの調査により、彼らの英語力が投資家の判断を大きく左右することが明らかになった。


 投資の世界はグローバルになった。いまさら言うまでもないことだが、その広がりを知れば、あらためて驚くかもしれない。外国のファンドが保有する上場企業の株は、2000年から8倍以上に増えているのだ。

 国際色を深める投資家と、彼らの市場をフォローするアナリストに訴えかけるために、多くの企業が決算報告の電話会議をライブ配信するようになった。企業にとっては大勝負だ。投資家向けの電話会議は大量の出来高につながり、株価が大きく動くことも少なくない。

 そこで経営者は電話会議の進め方について詳細な指導を受けるが、あらゆる準備をしても、電話会議の評価を決める重要な文化的要因を理解していない人が多い。数字がおのずと語ると思っているからだ。だが、数字はそこまで語ってはくれない。

 私たちは2つの研究で、決算報告の電話会議で経営者が財務関連のニュースを、どのように説明するかを分析した。特に注目したのは、リハーサルのない質疑応答である。

 そして、ある重要な傾向がわかった──会議で伝える基本的なニュースが同じでも、会議を主導する人の母語と文化的背景によって、市場の反応は異なるのだ。つまり、決算報告の電話会議では、「何を伝えるか」だけではなく「どう伝えるか」も重要になる。