順調そうに見える組織であっても、有害な文化が蔓延していたらメンバーは疲弊し、その状態は長続きしないだろう。自分たちの文化が毒されていることに気づけていない人も、気づいているのに声を上げない人も、どちらにも責任がある。ウォルマートで女性初のエグゼクティブ・バイスプレジデントを務めた筆者が、自身の経験に基づき、職場で健全な文化を築く方法を語る。
ウォルマートでエグゼクティブ・バイスプレジデントを務めていたとき、私は優秀なストラテジストを雇い、会員制スーパー、サムズ・クラブのマーケティング戦略を立案してもらった。彼女の功績は素晴らしかった。簡潔で適切なキャンペーンだった。
私は彼女と親交を深め、彼女を採用したのは正解だと思っていた──チームのあるメンバーから打ち明けられるまでは。
実は、彼女は同僚に対して信じられないくらい敵対的で、周囲は自分たちが置き去りにされたと感じ、価値のない存在だと思わされていたのだ。その状況が1年以上続いており、メンバーの多くが会社を辞めようと考えていた。ようやく状況を認識した私は、ただちに彼女を解雇した。
ただし、危機はそれで終わらなかった。優秀な人材を説得して引き止めることはできたが、彼らの信頼を取り戻すまでに数年かかったのだ。
この一連の出来事は、違う展開にもなり得ただろう。
振り返ってみれば、私はストラテジストの実績だけを見て権限を与えていた。そして、チームのメンバーが声を上げることをためらったために、毒は広がり続けた。結局のところ、有害な職場文化の中で立ち上がって模範を示すことは、組織内の地位に関係なく、一人ひとりの責任なのだ。
私はこの経験から、有害な文化を根付かせないために、社内のさまざまなチームのリーダーとメンバーがどのように協力して取り組むことができるか、いくつかの戦略を考えた。そのカギは、文化を支えるうえで、あるいは文化のために戦ううえで、自分が担う役割を一人ひとりが理解することだ。