リーダーへの信頼は
成功の積み重ねから生まれる

新浪剛史(にいなみ・たけし)
サントリーホールディングス代表取締役社長
1959年、神奈川県横浜市生まれ。1981年、三菱商事入社。1991年、ハーバード大学経営大学院修了(MBA取得)。1995年、ソデックスコーポレーション(現LEOC)代表取締役。2002年、ローソン代表取締役社長CEO。2014年よりサントリーホールディングス代表取締役社長。

編集部(以下色文字):企業には働き方を整備するだけでなく、働きがいの提供が求められています。従業員エンゲージメントを高めるには、リーダーがメンバーから全幅の信頼を得ることが重要だといわれていますが、そのためには何が大切だと思いますか。

新浪(以下略):まず、現場に足しげく通うことです。ただ足を運ぶだけでなく、現場の人たちが気づく以上の課題に気づき、その解決策を実行しなければ、信頼されるリーダーにはなれません。

 どれほど知識が豊富で頭がよくても、課題解決に向けたアクションを起こさなければ、信頼は得られません。ポジションや学歴や理屈ではないのです。観察しながら何をすべきかを考えて、行動する。そして、成功することです。結果を出すことにより、この人にはかなわない、この人についていけば安心だと思ってもらえるのです。もちろん、一度築いた信頼を裏切らないことも大切です。

 新浪さんは以前から現場の重要性を説かれていますが、そう考えるようになった直接的なきっかけはありましたか。

 34歳の時、三菱商事の社内ベンチャーとして病院給食を扱う会社を立ち上げました。そこでたくさんの失敗を経験したことが大きかったと思います。