どれほど優れたリーダーであっても、デジタルトランスフォーメーション(DX)のような大変革を独力で完遂することはできない。組織を支えているのは従業員であり、彼らの全面的な協力が不可欠である。では、変革を実行するための従業員基盤は、どうすればつくれるのか。筆者らは、5つのポイントを示す。


 消費財を取り巻く環境は、大きな再編の只中にある。

 コカ・コーラは先頃、成長、イノベーション、デジタルに集中するために経営陣を一新した。ユニリーバは、サブスクリプションという新たな販売モデルの導入に向け、新興スタートアップのダラー・シェーブ・クラブを10億ドルで買収。ロレアルは、デジタルスタートアップのアクセラレーターである、ファウンダーズ・ファクトリーへの戦略的投資を決めた。

 ベンチャー投資会社グレイクロフトの投資家テディ・シトリンは、消費財の各カテゴリーで今後起こる破壊的変化について、リアルな情勢図を提示している。

 筆者らの見解と経験によれば、こうした新しいアイデアと方法を成功させるうえで基盤となるのは、従業員の能力、スキル、マインドである。

 コネクテッド・コンシューマー(ネットに常時接続している消費者)の期待と要望に応えられる従業員基盤は、どうすれば構築できるのか。筆者らは、世界各地の大手消費財企業と協働し、その成功率を高めるための明確な手法と注力事項を特定した。以下に、その5つを挙げたい。