
仕事の自動化はますます進んでおり、その動きは今後も加速するだろう。そうした変化に対する自分のスキル不足を自覚しながらも、具体的に何をすべきかと戸惑っている労働者は少なくない。エデックス社長兼COOのアダム・メドロスは、企業側は、労働者が自発的にスキルアップを図ることを期待するだけでなく、再教育プログラムをCSRの一環として捉え直し、従業員に提供すべきだと主張する。
「自動化の時代」は、単に到来しつつあるだけではないことは、もはや秘密ではない。
世界経済フォーラムは最近、技術革新により2026年までに推定140万人が失職するとし、その70%以上は、職種そのものがなくなることが原因だとしている。また、マッキンゼー・グローバル・インスティテュートが7月に公開した報告書によると、その不相応に大きなしわ寄せを受けるのは地方だという。
エデックス(edX)の調査では、スキル不足が最も目立つのはデータサイエンスの分野だ。調査対象者の39%が、「アナリティクスやコンピューターサイエンスを中心とするデータスキルにおいて、自分は習熟度が低いと思う」と答え、24%が「会社で使うテクノロジーの使い方について、外部の助けを借りなければならなかった」と答えた。
スキル不足が2番目に目立つのは、ビジネススキルとソフトスキルの分野だ。これにはプロジェクトマネジメントやリーダーシップが含まれ、調査対象者の3人に1人が、自分はこの分野でスキル不足だと思うと答えている。
一方で、企業経営者や研究者、そして政治家は、迫りくる労働力の混乱に対処できる人材をどう育てるか、そしてその解決策を誰が担うべきかを検討している。本当にインパクトのある解決策をもたらすためには、政府がデータサイエンスや人工知能(AI)分野の再教育を義務づけるべきなのか。ということは、労働者は自分で再教育の場を探さなくてはいけないのか。
連邦政府の力を借りたり、個人の努力を期待したりすることは、全体的な解決策の一部かもしれないが、即時的な変化とインパクトを生み出すパワーを持つのは企業だと、筆者は考えている。企業はすでに、世話になっているコミュニティに貢献する「企業の社会的責任(CSR)」プログラムを実施して、ポジティブなインパクトを生み出している。今後は、こうしたイニシアチブを使って、経済格差との戦いに加わり、未来の労働力の安全を確保すべきだ。
最も純粋な意味でのCSRは、企業コミュニティにインパクトを与えることに力を注ぐ。たとえば、持続可能性イニシアチブや記念財団、ボランティアプログラムは、有能な人材を維持するとともに、社内の士気を高めるうえで大きな役割を果たす。
だが、企業は社内外のコミュニティのあらゆる人々に責任を負うものであり、CSRイニシアチブも社内外コミュニティの両方を含めるべきだという主張がある。このコンテクストでは、教育は、従業員と、その延長としてコミュニティ全体を技術革新のインパクトから守る、CSRイニシアチブということになる。