教育と、それが経済に与える影響については、すでに明確なつながりが存在する。
歴史的に、学歴の高い労働力は、将来の平均収入と失業率にポジティブな影響を与える。またデータによると、従業員は会社の助けを歓迎するだけでなく、ゲームチェンジャーになる。リンクトインの2019年ワークフォース・ラーニング・レポートによると、企業が社員の学習支援に投資するだけで、94%の社員が、その会社により長くとどまろうと考える。
エデックスの調査では、消費者の3分の1は、会社が社員の再教育を指揮する責任を担うべきだと考えているが、半分近く(40%)は、再教育の費用負担を一部でも会社に求めるのは気まずいと考えていた。この思考は、職場のリーダーが変えることができる。そしてその試みは、研修と人材育成にどう取り組むべきかを考えることから始まる。
このような措置に懐疑的な人は、すでに従業員の教育機会に投資して、スキル不足を補う取り組みを始めている企業を見るべきだ。
たとえば、アマゾンの「キャリア・チョイス」プログラムは、専門職の資格取得や特定分野の学位取得にかかる学費などの費用の95%を負担して、従業員のスキルアップをサポートすることにより、その従業員が需要のある仕事に応募できるようにしている。アマゾンではこれまでに、1万人以上がこのイニシアチブを利用したという。
ボーイングは、「ラーニング・トゥゲザー・プログラム」で、大学の学費、書籍代、学位や専門職の認定試験を受ける費用、そして質の高い学校で学ぶための料金を補償している。その一方で、すでに高い効果が確認された、質の高い学習ソリューションに投資することが重要だ。その点、評判のよい学習プラットフォームは多数存在する。
組織は、未来の職場における教育の問題の解決に積極的に取り組み、労働者に教育を継続する機会を与えて、彼らをエンパワーメントすることができる。企業が教育プログラムを実施して未来の労働力を守ることは、道徳的にも経済的にも必要だ。そのためには、需要の高い分野で質の高い教育を受けるのを妨げる、最大の障害(時間、コスト、場所)を取り除くことも重要である。
労働者の未来は、あらゆる産業の雇用主が握っている。研修や人材開発をCSRイニシアチブと見なし、個人が生涯にわたり学習を続けやすくする柔軟な道のりに投資すれば、企業は優秀な人材の獲得戦争に勝利すると同時に、地域社会に投資することもできるだろう。
HBR.org原文:Reskilling Workers Is a Central Part of Corporate Social Responsibility, October 01, 2019.
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