米国における中高年再教育

「卒業した時、私は56歳になっていました。私の年齢を気にすることもなく、まだ貴重な働き手と見てくれる人たちがいるとは思ってもみませんでした。誰でも定年が近づくと、雇ってくれる会社があるのかと心配になり出すものですから。(中略)でも私は、年齢や経歴にかかわらず、自分が貴重な人材なのだと感じさせてもらえました。私は、失業して失っていた自信を取り戻したのです」

 と語るダーレン・ミケルソンは2008年、34年間勤めたフィリップス・アドバンス・トランスフォーマーに解雇された。その工場はウィスコンシン州南西部の小さな町ボスコベルにあり、長年にわたって照明器具の部品を生産し、フィリップス・エレクトロニクスに納入していた。

 工場閉鎖とメキシコへの生産移転に伴い、工具係として働いていたダーレンをはじめ、188人が職を失った。彼女の30歳になる娘のジェシーもほぼ同時期に、近隣のビオラにある二輪車の部品メーカー、S&Sサイクルの工場で職を失った。ちょうど労働市場が悪化していたため、2人は近くのフェニモアにあるサウスウェスト・ウィスコンシン・テクニカルカレッジの会計学の学位取得課程に入学した。