問われるシニア人材の活用

 日本社会は、これまでに人類が経験したことのない未曾有の少子高齢化を経験している。2007年、日本は高齢化率(国や地域の総人口に占める65歳以上人口の割合)が21%を超える「超高齢社会」へと突入した。この頃から日本の高齢化率は、世界第1位を維持している。2018年時点の日本の高齢化率は28.1%であるが、推計値によると今後もこの値は上昇し、2035年には約3人に1人が65歳以上になるとされる[注1]

 働くシニアの動向はどうだろうか。従来、日本企業で働く人の多くは、60~65歳前後で各社が設定する定年年齢に達し、その後は退職金、年金、現役時代の預貯金などをもとに老後を過ごすのが一般的だった。しかし、ここ最近の傾向として、60歳以上になっても働く人が増えている。

 たとえば、55~64歳人口に占める就業者の割合は、2006年から2016年までの間で64.7%から71.4%へ増加しており、同様に65~69歳人口に占める就業者の割合も、10年間で34.6%から42.8%へと8ポイント以上増加している。加えて、70~74歳の層でも、4人に1人が仕事に就いていることが報告されている[注2]。すなわち、個人の職業生活が従来よりもいっそう、長期化しているのである。