日本企業にこそ有効な変革法

 物語の中で、企業変革の実践策を提示した後、自動車会社ゼネラルモーターズや保険会社エトナなど、実在企業の改善事例が出てくるため、一連の施策がどのような結果を生むかが理解できる構成になっている。

 日本企業は、企業文化を大切にし、それが強みにも弱みにもなりがちである。また、外国企業と比べて、人材の流動性が低く、いま在籍している従業員の働くモチベーションを高めてこそ企業変革は成功する。さらには、ミドル層、中間管理職が、本書で指摘する「真の非公式リーダー」役を担っている。

 こうした特徴からすると、本書が提示する「最高の企業文化を育む少数の法則」は、日本企業にこそ有効な企業変革の方法と言えるだろう。

 経営コンサルタントの著書らしく、理論を解説し、事例を示した後、読者が実行する際の具体的な行動リストを随所で提示している。全体として実践的で役に立つ内容となっている。