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世界中でダイバーシティが推進されており、企業も例外ではない。多くのビジネスリーダーたちは、この問題を真剣に解決したいと考えている。一方で、自身の不用意な取り組みや発言が火種にならないかと不安も抱えている。筆者は、リーダーという責任ある立場にある以上、不安を理由に行動を躊躇すべきではないと主張し、具体的なアドバイスを贈る。


 CDO(最高ダイバーシティ責任者)の27%が、職場でのダイバーシティ、インクルージョン、ビロンギングについて、自分が率先して行動しなければならないと考えている。

 希望が持てることに、最近は経営幹部の大多数が、そのような努力が不可欠だと理解している。実際、グーグルやディズニーなど大手企業で人材とダイバーシティの仕事に携わってきた私は、多くのビジネスリーダーが、よりインクルージブ(包摂的)な文化を築くために実用的な枠組みと助言を熱心に求めていることを知った。

 一方で、そんな彼らを躊躇させる要因も繰り返し見てきた。すなわち、不安だ。

 彼らリーダーは、事態を混乱させるのではないか、さまざまなステークホルダー(利害関係者)に対して不適切な発言をして組織が機能不全に陥るのではないかと、ひどく恐れている。利害関係者は従業員や取締役、資金提供者、クライアント、顧客だけでなく、ソーシャルメディアを介して、より広い世界にも及ぶ。

 2015年夏、「Black Lives Matter(黒人の命も大切だ)」運動[訳注1]が高まるなか、黒人従業員がストライキを主導して、自分たちが職場で直面している疎外と構造的な不平等を訴えた。当時グーグルで働いていた私は、数人の白人管理職から、この抗議活動について黒人の部下とどのように関わればいいのだろうと、不安を打ち明けられた。

 何か言うべきか?何かしたほうがいいのか?白人で上司の自分が黒人の経験について何かを言えば、彼らを怒らせてしまわないか?チームにメッセージを送信する前に原稿を見てもらえないか?彼らはインクルージブなリーダーシップを取る前に、励ましと同意と助言を必要としていた。

 ここで重要なのは、従業員に行動を取らせるのではなく、リーダーが目に見える形でみずから行動することだ。それができなければ、リーダーとしてチームを公平に率いるという信頼と信用を失い、悪い前例をつくることになる。

 私はスタートアップでもインクルージョンの戦略を導入し、学習のためのディスカッションを企画してきたが、創業者たちは社内でリーダーシップを取る人々が積極的に参加しないことに失望していた。インクルージョンのためにチームを立ち上がらせたいと思うなら、まずリーダーが立ち上がらなければならない。

 不安を理由に、真剣な取り組みを躊躇してはいけない。職場でダイバーシティ、エクイティ、インクルージョン(DEI)の問題を解決しようとしながら、間違いを恐れるリーダーに、私は次のような助言をしている。