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サブスクリプション・ビジネスが台頭する中、企業には商品・サービスを売り切って終わるのではなく、顧客との継続的な関係性を構築することが求められている。その結果、自社に「カスタマー・サクセス・マネジャー(CSM)」という新たな役職を設置する企業が急速に増えてきた。CSMの役割とは何か、彼らの力をどうすれば引き出せるのだろうか。


 企業の買い手が売り手から最初に購入するとき、その行為は双方の価値交換の始まりにすぎない。時間の経過とともに、顧客は恩恵を受けて売買が続き、規模が拡大し、相互価値の大半が蓄積される。

 その結果、多くの企業が顧客担当としてその関係を成長させる責任を、アカウントマネジャーからカスタマー・サクセス・マネジャー(CSM)に移行させている。

 CSMという肩書きは、10年前にはほとんど聞かれなかった。しかし、コンサルティング会社である我々ZSアソシエイツが、2019年にハイテク企業を対象に調べたところ、回答した109社のうち40%以上がCSMを据えていた。リンクトインによる2019年の調査では、営業関連の職種としては、法人アカウントエグゼクティブに次ぐ高い地位にCSMがいることがわかった。

 CSMの地位が高くなるにつれて、彼らは多面的にバランスをとる必要が出てきた。CSMはサービスとセールスの間、会社の利害とカスタマーの利害の間、製品に関する専門知識とカスタマーの洞察力の間に立たされる。

 役割をうまくこなせば、CSMはセールス向上のための強力な原動力となる。しかしながら、たいていのCSMは顧客に成功をもたらすことよりセールスに関心があると、顧客はとらえている。カスタマー・サクセスという肩書きとの矛盾に顧客は不協和と不信感を覚え、サービスの更新や関係の拡大に二の足を踏む。