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新しいビジネスのカテゴリーを創造した企業は、その市場を支配して、莫大な利益を得ることができる。誤解されることも多いが、カテゴリー創造者は単なる「先行者(ファースト・ムーバー)」ではない。他社に先駆けて製品やサービスを市場に投入するだけでは、カテゴリーを創造したとは言えないのだ。本稿では、テスラ、ハイドラフェイシャル、アクソンを例に挙げながら、その違いを明らかにする。


 ソフトウェア大手のSAPが2018年、オンラインアンケート・ソフトウェアを手掛けるクアルトリクスの買収を発表した。買収金額は80億ドル。この金額は、翌年のクアルトリクスの予測売上高と比べると約14倍だった。

 SAPのCEOはデータを根拠として挙げ、巨額買収の正当性を主張した。そのデータによれば、新しいビジネスのカテゴリーを創造した企業は、各市場でビジネスを行う企業の企業価値を合計したとき、平均でその76%を占有するという。その点、クアルトリクスは新しいカテゴリーをつくり出した企業なので、高額な買収資金に見合う、という理屈だ。