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企業にはこれまで、グローバル化への抜本的な対応が求められていた。しかしポピュリズムとナショナリズムの台頭などによって、2020年代はディグローバリゼーション(脱グローバル化)の進展が予想されている。先進的な企業はすでに脱グローバル化に向けた対策を実施しているものの、そこには表面化していない3つリスク(テクノロジー、グローバル採用、資金調達)が潜んでいると筆者は指摘する。


 2020年代は、米中の緊張悪化、欧州におけるポピュリズムとナショナリズムの拡大、そして世界的な不況リスクの高まりなど、経済が複雑化し、地政学的な分断が進みそうだ。

 そんな中、先見の明があるビジネスリーダーたちは、ディグローバリゼーション(脱グローバル化)の長期的なリスクを緩和するための戦略を練り始めている。彼らが懸念するのは、保護貿易主義の拡大と、関税合戦の激化による収益悪化である。

 だが、脱グローバル化には、もっと隠れたリスクが存在する。それはグローバル企業が、脱グローバル化した世界で競争するのに適した構造ではないことだ。サイロ化した世界は、テクノロジー、グローバル採用、そして資金調達という、グローバル企業の3つの要を直撃する可能性が高い。