
リーダーとして責任感を持つことは重要だが、自分のビジョンを共有し、チームが抱える問題をすぐに解決すべきだと熱心になりすぎて、部下とのコミュニケーションが過剰になってはいないだろうか。あなたがよかれと思ってやっている行動が、部下の貴重な時間を奪い、生産性を低下させる要因になりかねない。本稿では、話しすぎる上司になるのを防ぐ4つのルールを紹介する。
スタートアップのCEOとして、私は日々、達成したいビジョンをチーム全員に理解してもらいたいと考えている。また、皆のアイデアを聞き、検討し、取り込み、その過程で問題があればすぐに行動して、解決したいとも考えている。
そのため当社では、グループでたくさん話す。実にたくさん話すのである。
話題は会社のミッション、目標、それらを達成するためのステップなどだ。私はいつだって、新しい伝え方を模索している。ビションを明確にして、さまざまなチームメンバーが目標をどのように理解しているか、どんなに小さくてもズレを発見したいからだ。
要するに、私はコミュニケーション過剰である。
いまの会社のスタッフ数が比較的少ないからコミュニケーション過剰になっている、というわけではない。米国マサチューセッツ州ニュートンにある大企業のバイスプレジデントとして過ごした数年間も含め、私はキャリアを通じて、ずっと同じように話しすぎていた。
そこで、私は自問した。自分はどの時点でコミュニケーション過剰に陥るのだろうか。どの時点で、話すのをやめるべきなのだろうか。
その答えは単純なものではない。『ハーバード・ビジネス・レビュー(HBR)』には、「プロジェクトについて、みんなとコミュニケーションを取りすぎる」タイプの上司が「時間の多くを吸い取っている」ことに、人々が不満を持っていると記されている。その一方、ハーバード大学の研究の中には、マネジャーによる「根気強く繰り返されるコミュニケーション」が、プロジェクトを素早く終わらせるのに役立つと論じたものもある。
こうした研究を取り入れて、私は自分が従うべき規則をつくった。マイナス面(無駄な時間や生産性の低下)の軽減を目指しつつ、頻繁にコミュニケーションを交わすことで、自社の行く手を阻む壁を乗り越えるためである。