パーパスは戦略の周縁から
中心に移行している

 8年前、筆者らは高成長企業に関する世界的な調査を始めた。成長を牽引するとされる3つの戦略の重要性を調べるためだ。その3つとは、新しい市場の創造、幅広いニーズへの対応、ゲームのルールの変更である。調査の結果、驚くべきことがわかった。この3つはそれぞれ調査対象企業の成長を後押ししていたが、筆者らが考えもしなかった4つ目のドライバーがあったのだ。それは「パーパス」である。

 企業は事業活動にパーパスを組み込むことを長らく奨励されてきた。だがたいていの場合、それは付け足しのような位置付けで語られる。つまり、共通価値を生み、社員のやる気や責任感を高め、地域社会に還元し、環境を保護するための手段である。

 しかし、今回の調査などで高成長企業について調べるうち、その多くがパーパスを戦略の周縁から中心へ移していることが判明した。パーパスを責任あるリーダーシップや資金投入と合わせて利用することで、利益を伴った持続的成長を生み出し、急速な環境変化に対応し、ステークホルダーとのつながりを深めていた。