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上司や仕事の不満を同僚に打ち明けて、ガス抜きをする機会は必要だろう。ただし、重大な意思決定を伴う議論の大半が、正式な会議でなく非公式な「裏の会話」で行われているとしたら、それは大問題である。筆者は、自社にとって不都合な真実が見過ごされる企業文化を変えるために、3つの行動を提唱する。


 上司や退屈な会議、上層部からのわけのわからない指示に少しばかり愚痴をこぼすのは、人間の性分である。厳密に言えば、そうした愚痴に実害はない。誰でも時には、ガス抜きすることが必要だ。

 しかし、重大な問題に関する議論の大半が、本来ならば路線変更できる立場の人々によって熟考されるべき正式な会議の場ではなく、「裏の会話」の中で行われているならば、企業は深刻なトラブルに陥る。

 ボーイングの旅客機墜落事故に関する最近の報道は、事故を起こした新型旅客機「737MAX」について、裏の会話が蔓延していたことを明らかにした。開発過程から、従業員の個人メールやインスタントメッセージには、737MAXへの懸念が広がっていた。そこには、意思決定や採用される技術、あるいは同社の顧客に対しても、露骨に侮蔑する会話が残されていた。

 2020年1月、米国議会に提出された117ページにわたる内部通信記録には、ボーイングの企業文化の不都合な真実が、裏の会話の中で繰り広げられている様子が描かれていた。従業員は同社の顧客をも無能で「まぬけ」だとあざ笑い、規制当局やボーイングの経営幹部についても同様に、辛辣な言葉であげつらっていた。

 ハドソン川への奇跡の不時着水で知られる「サリー」ことチェズレイ・サレンバーガー機長は『ニューヨーク・タイムズ』紙で「私たちはみな、以前にも同じ光景を目にしたことがある。たとえば、エンロンのような場所で」と指摘している。

 裏の会話が生まれるのは、公の場で真実を語っても受け入れられないと思われているからだ。会議で決定された事項や計画に異論があっても、そうした場所では上司や多数派に従うものだと、従業員が学習してしまっている。

 だが、人はみな、自分の考えを表現し、それに耳を傾けてもらえたと感じたいがゆえに、いつまでも黙ったままではいられない。そこで仲間、つまり率直に話ができそうな相手を探す。そして、本音を話すのだ。