代替アプローチ
幸い、総合的な問題解決スキルをより的確かつ正確に評価する方法があることは、過去100年以上の研究が裏づけている。
まず、一般心理能力(GMA)テストは流動性知能、すなわちさまざまな場面での問題解決能力を極めて正確に予測する。すでに確立されているその構成概念は何十年にもわたり試されており、何千もの研究者が査読論文を発表している。候補者選びの第一段階で使うなら、標準化され、目新しさもないこのGMAテストは、ケース面接よりもはるかに優れた評価法である。
また、企業はすでに明らかになっているケース面接の欠点を、アプローチを標準化することで軽減できる。仕事で最も望まれるスキルがどんなもので、そのスキルをどのように測るか、素晴らしい回答と不十分な回答の違いは何なのかを、より具体的な基準とするのだ。
さらに、筆記テストはより客観的にスキルを評価するうえで役立つ。候補者の名前(つまり性別や人種、背景)を評価担当者に見せなければ、バイアスを減らすことができる。
我々が最近一緒に仕事をしたある顧客企業は、ケース面接を廃止して標準化された筆記テストを採用した。候補者は、投資に関する覚書を読んで、投資の判断をする前に何を知る必要があると思うか、主要な質問を書き出すよう求められる。評価は、候補者の名前を見ずに行った。また、どのテーマが重要で、テーマのカテゴリーのうち洞察力のある回答はどのようなものかについても、あらかじめ話し合っておいた。
その結果、最近米国に移住してきた、英語を母語としない候補者が最終段階まで進んだ。他のクライアントが行った従来型ケース面接では、面接官とのコミュニケーションに苦戦していた候補者である。
採用に関して、コンサルティング会社が正しいことが1つある。総合的な問題解決スキルは、仕事上の成功を予想するうえで重要だということだ。しかし、従来のケース面接はもはや、そのようなスキルを見極める役割を十分には果たしていない。
毎年、何万ものMBAホルダーの学生や求職者が、なんと多くの時間と費用を割いてケース面接に臨んできたことだろう。これは、膨大なエネルギーと潜在能力の無駄である。我々は求職者を失望させ、その過程で優れた能力を持つ者を見逃してきた。
マッキンゼーやBCG、およびその追随者に気づいてほしい。優秀な人材を見分けるために、この時代遅れでバイアスのかかったアプローチをとるのは、そろそろやめるべき時が来ている。
HBR.org原文:What Top Consulting Firms Get Wrong About Hiring, January 14, 2020.
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