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自分たちは何を目指す会社なのか。自社のパーパスを社内外に周知することは、さまざまな効果をもたらす。従業員にとっては進むべき方向が明確になり、投資家が業績を予測するうえでも重要な情報になるだろう。ただ筆者は、「我が社は◯◯ではない」という正反対の方向性でアイデンティティを定義することも、「我が社は◯◯である」というメッセージと同等の価値を持つと主張する。


 社員と投資家は、企業が何を目指していて、どのように利益を上げる計画かを知りたがる。ドイツの自動車大手BMWの「私たちはナンバーワン。前に進み続ける人たちを刺激したい」という言葉のように、会社のパーパス(存在意義)が明らかにされていれば、社員は進むべき方向を理解しやすくなる。そして、会社のビジネスモデルがわかれば、投資家は会社の業績を予測するうえで重要な情報を得られる。

 しかし、企業のコミュニケーションにおいては、これとは正反対のメッセージが同じくらい有用な場合もある。それは、何が自社のアイデンティティに反するのか、そしてどのような戦略を採用しないのかという情報だ。