
ソーシャルメディアは依然として力強い成長を遂げているが、若者たちの利用は横ばい、あるいは減少傾向にある。念入りに演出したオンライン・アイデンティティをベースに「友達」を獲得することに時間を割くよりも、共通の関心に基づくリアルな友達を求めているという。マーケターが彼らに情報を届けるためには、より閉鎖的でインタラクティブな空間にアプローチする必要がある。筆者はこの空間を「デジタルキャンプファイア」と名づけた。本稿では、3つのデジタルキャンプファイアの特徴を明らかにして、そこにリーチできている企業の実例を紹介する。
ソーシャルメディアを批判する声は高まる一方だが、各プラットフォームは依然として力強い成長を見せている(フェイスブックでさえも)。ソーシャルメディアで話題になっていることはいまも、文化からニュース、そして人間関係にまで影響を与えている。そして、私たちはこれまでになく長い時間を、スマートフォンを眺めて過ごしている。その最大の理由は、エンドレスなソーシャルフィードをチェックするためだ。
だが、ちょっと目を凝らすと、もう少し細やかなソーシャルメディアのユーザー像が見えてくる。それは、ブランドが顧客にリーチする方法考えるうえで大きな意味を持つ。なかでも、各プラットフォームの成長と人気を牽引している人口層(牽引していない人口層も一段と重要な情報だ)に注目すると、その中核的グループ、すなわち若者はソーシャルメディアからやや離れつつあるように見える。
エジソンリサーチとトリトンデジタルの2019年の調査によると、米国の12~34歳によるソーシャルメディアの利用は、これまでと横ばいか、やや縮小してきた。グローバルウェブインデックスの2019年の調査でも、ミレニアル世代(24~40歳)とZ世代(5~23歳)がソーシャルプラットフォームで過ごす時間は、横ばいか減少、またはさほど増えていないことを示している。
なぜなのか。若者たちに話を聞くと、何年にもわたり、念入りに演出したオンライン・アイデンティティを構築し、オンラインの「友達」を獲得することに夢中になってきたが、いまは自分らしくなって、共通の関心に基づく本物の友達が欲しくなったのだと言う。彼らはプライバシーや安全も求めている。ソーシャルプラットフォームでの大量の人々(そこには通常親も含まれる)との関わりを、休みたいと感じているのだ。
こうした若いオーディエンスに、マーケターがソーシャルメディアでリーチするためには、これまでのアプローチを見直さなければならない。まず、こうした閉鎖的で、多くの場合プライベートで、インタラクティブなスペースの特徴を理解する必要がある。筆者は、トレンドに名前をつけると、その枠組みを理解しやすくなると考えている。そして、このスペースを「デジタルキャンプファイア」と呼ぶことにした。
ある意味でソーシャルメディアは、誰でも入れるけれど、誰もワクワクしていない、混み合った空港のターミナルのようだ。これに対してデジタルキャンプファイアは、少人数が共通の関心を中心に集まる、親密でワクワクするオアシスだ。
デジタルキャンプファイアには3つのタイプがある。「プライベートメッセージング」と「マイクロコミュニティ」と「共通経験」だ。この3つすべての要素を持つデジタルキャンプファイアもある。
そこで、それぞれの特徴を明らかにしたうえで、各ブランドがどんな手法を使ってオーディエンスにリーチしているかを紹介しよう。