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リーダーはみな、イノベーションが大好きだ。世の中はイノベーションの方法論が書かれた本や記事であふれ、経営者の多くがイノベーション不足を課題に挙げる。しかし残念ながら、従業員の大半はイノベーションを嫌っている。そこに膨大な時間を投じて結果が出なければ、職を失うリスクすらあるからだ。筆者は、自社でイノベーションを起こしたいのなら、「イノベーション」という言葉を使うべきではないと主張する。


 わかりきっていることから話を始めよう。「イノベーション」は、ビジネス界の流行語になっている。実際、あまりにも長く流行語であったため、それを取り巻くカルトが展開していると言ってもよい。

 グローバルなコンサルティング会社、ボード・オブ・イノベーション推計によると、現在購入可能なイノベーションに関する本は約7万冊ある。1日当たり20ページ読み進めるとして、全部を読み終えるのにおよそ2500年かかる。