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従業員が、自分の存在が組織から尊重され、組織の一員であるという感覚を持てている状態、すなわちインクルージョン(包摂)されていると感じるためには、リーダーの発言や行動が鍵を握る。そのためにはリーダーが自分自身と組織のバイアスを認識したうえで、「謙虚さ」と「共感」をもってそれを克服することが重要だと筆者らは指摘する。本稿では、インクルーシブ・リーダーシップを実践する3つの方法を紹介する。


 人が組織で敬意を持って公正に扱われていると感じたり、尊重されていると思ったり、その組織の一員だという感覚を持ったりするためには、何が必要なのか。つまり、人が「インクルージョン(包摂)」されていると感じられるのは、どのような状況なのか。

 言うまでもなく、そのためには多くの条件が満たされなくてはならない。たとえば、組織のミッション、方針、慣行、同僚たちの振る舞いなども関係してくる。

 しかし、最も大きな影響を及ぼすのはリーダーの態度だ。私たちの研究では、人が組織で包摂されていると感じられるか否かに影響する全要因の中で、70%の比重を占めるのが、リーダーの発言や行動だとわかっている。

 この点で、リーダーが適切な態度を取ることの重要性は見過ごせない。働く人たちは、職場で包摂されていると強く感じていればいるほど、積極的に発言し、ひときわ大きな努力を払い、協働の精神を発揮する。これらのことはすべて、究極的には組織の成果につながる。

 このような認識の下、インクルージョンを推進できる「インクルーシブ・リーダーシップ」への注目が高まっている。リーダーがそのような資質を備えていることは、企業が多様な顧客、市場、アイデア、人材に適応するために不可欠な要素と考えられるようになってきたのだ。