
会議を成功させるには議題の設定が不可欠だといわれるが、議題があるかないかそれ自体は、まったく重要ではない。その内容に妥当性があるか、議論が適切にファシリテートされているかが大切である。筆者は、話し合うトピックを羅列するのではなく、質問型にすることで、参加者の集中度とエンゲージメントパフォーマンスが上がると主張する。本稿では、質問型の議題設定を効果的に実施する4つのポイントを紹介する。
どれでもいい。会議を成功させるためのハウツー本を読んでみてほしい。かなり最初のほうで、「議題を設定すること」と書いてあるはずだ。
参加者をエンゲージさせ、会議を成功させるためには、きっちりプランを立てておくことが重要だと、マネジャーたちは信じ込まされることが多い。残念ながら、事はそんなに簡単ではない。
研究によると、議題が設定されていることと、参加者による会議の評価の間には、ほとんど、あるいは、まったく関係がない。重要なのは、議題そのものではなく、その内容の妥当性と重要性と、そしてディスカッションのファシリテート方法だ。
そこで会議の議題を、トピックの羅列ではなく質問型にしてみよう。ものすごく簡単に言うと、会議とは、限られた時間内に、差し迫った問題について答えを出すために存在する。どういうことか、具体例をいくつか示そう。
・「予算の問題」というトピックを、「どうすれば年度内に経費を10万ドル削れるか」という表現にしてみる。
・「顧客処理の改善」というトピックを、「どうすれば顧客対応時間を25%短縮できるか」という表現にしてみる。
・「リーダー引き継ぎ」というトピックを、「リーダーシップの交代時に起こる問題は何か。それにどう対処すればいいか」という表現にしてみる。
・「戦略計画立案の継続」という表現を、その会議で話し合う具体的事項に変える。たとえば、「マーケットで目を向けるべき主な脅威は何か、具体的にどんな影響が生じうるのか、どんな対策が可能か」に変更する。
・「その他の情報」というトピックを、「共有したい/してほしい重要情報はあるか」という表現に変えてみる。
議題を質問の形にすると、会議を設計するときの考え方も変わってくる。より戦略的になり、トピックの意味や目指す着地点について批判的に考えるようになる。
また、この方法は意識的な思考を推進する効果もある。質問に答えを出す形の会議にすると、誰を招待するかを決めるのも簡単になるだろう(答えを出すのに不可欠な人たちだ)。また、会議を終わりにするタイミングも判断しやすくなる(質問に対して満足な答えが得られたとき)。
この質問型の議題設定の効果を最大化するカギは4つある。