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能力的には条件を満たしていながら、性別や人種を理由に採用が見送られる事態を防ぐために、人材選考のプロセスを匿名化する組織が増えている。筆者らはこの効果を検証するために、ハッブル宇宙望遠鏡のプロジェクト応募に関する調査を行った。すると、応募者の情報を匿名化することで、女性の採用率が上昇することが判明した。


 性別、人種やその他の属性をめぐるバイアスの存在について認識が広がる中、人材選考のシステムに「見えない化」を取り入れる組織が増えている。採用プロセスや資金申請などにおいて、応募者の詳細を匿名化すれば(名前を伏せるなど)、過小評価されている層からの候補者をもっと多く選ぶことにつながるとされている。

 だが、このやり方の有効性を裏づけるエビデンスは、科学界を動かすことはなかった。