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新型コロナウイルス感染症は、私たちの働き方に大きな変化をもたらした。それは働く場所を変えるだけでなく、どんな仕事を、どのようにこなすかを根本的に問い直している。組織のリーダーは、雇用のあり方を抜本的に見直し、レジリエンス(再起力)とアジリティ(敏捷性)を高めなくてはならない。本稿では、そのために有効な3つの方法を示す。


 新型コロナウイルス感染症(Covid-19)の拡大で、在宅勤務とソーシャル・ディスタンシング(社会的距離)が急速に仕事やコミュニケーションのあり方を変える中、組織は仕事の未来に関する、ひょっとすると最も重大な社会実験を強いられている。それが仕事に与える影響は、働く場所を変えるだけでなく、どんな仕事を、どのようにこなすかも根本から変えるだろう。

 多くの人はいま、数週間前は想像もしなかった仕事を、考えたこともなかった形でこなしている。ブルックス・ブラザーズやニューバランスといったアパレル企業の社員はサージカルマスクやガウンを生産しているし、テスラやフォード、ゼネラル・モーターズ(GM)は、需要急落で遊休状態にあった自動車組立工場の設備を入れ替えて、自動車部品から人工呼吸器を生産している。

 一方、リーダーたちは、雇用のあり方を見直す前例のないチャンスを手にしている。組織と顧客と社員のニーズの変化に機敏に対応するため、仕事の内容を見直し、社員にこれまでとは違う業務を任せているのだ。

 そこで筆者らは、仕事・人材・スキルを、最も必要とされタイミングで、最も必要とされる場所に移すことにより、この不透明な時期を乗り切り、経済が元に戻ったときに備えて組織のレジリエンス(再起力)とアジリティ(敏捷性)を高めるための、3つの方法を提案する。