次いで、デジタル・アナリティクスの活用だ。

 CRMが業務プロセスに正しく埋め込まれれば、営業員と顧客とのやり取りが「見える化」され、営業マネジャーがリモートでも営業員の抱える課題に介入し、解決することが可能となる。

 また、顧客データに基づく拡販戦略の策定や最適な価格設定の支援ができるようになる。従来は営業員の経験と勘に依存していた営業活動に、ファクトベースの改善を行うことができ、その文化をも変えられる。

 第3に、営業サポート業務の専業化による営業生産性の改善だ。

 日本では提案から入札、顧客応対、受注後対応まで行う「多能工型」の営業員が一般的だが、これを提案書作成業務や入札等のサポート業務を顧客対応と切り分けることで、各員の付加価値を最大化することができる。サポート業務を専門に行う「インサイド・セールス」の活用もカギとなる。

 最後に、成果に基づくガバナンス・評価モデルの構築である。

 上記の取り組みを前提とすれば、各員のミッション・目標が明確となり、定量的な成果測定をふまえた営業組織が出来上がる。勘と経験に頼るような感覚的で、しかも前年度からの伸長に重きを置いた営業管理から、成果に基づくガバナンスへと進化するだろう。 

 現在、リモート営業の効果に関して、企業の約半数が「従来型の営業活動よりも同等以上」と回答するものの、約半数は「効果が劣る」と捉えている。

 リモート営業の効果を最大化するためには、今般のコロナ禍によるパッチワーク的な対応ではなく、あらためて顧客視点での購買意思決定プロセスを理解し、営業生産性を著しく向上させ、競争力を強化することが重要となるだろう。

※マッキンゼーでは、COVID-19について最新情報を発信している。更なる情報については「知見」「COVID-19:ビジネスへの意味合い」をご覧いただきたい。