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ギグエコノミーは大きな成長を遂げている一方で、その多くは運転や配達などの単純労働が占めており、知識労働はいまだ組織に属する人間が担っている。だが、新型コロナウイルスのパンデミックで働き方が大きく変化する中、その現状も変わりつつある。とはいえ、あらゆる知識労働が「ギグ化」に適しているわけではない。本稿では、それを見極めるための3つの問いを紹介する。


「ギグエコノミー」という用語は、2009年に『ニューヨーカー』誌の元編集者ティナ・ブラウンによって命名された。知識経済における働き手が「デジタル市場で取引をしているうちに、数多くの流動的なプロジェクト、コンサルティング業務、こまごまとしたパートタイム仕事」を、ますます求めている傾向を表した言葉だ。

 ギグエコノミーはホワイトカラー職を再定義し、プロフェッショナルサービス企業の存在そのものに疑問を投げかけることになるという考え方が、当時は広く受け入れられた。

 たくさんの専門家たちがグローバル規模のデジタルプラットフォームでつながっており、自社のプロジェクトで協働してくれる。彼らに制限なくアクセスできるのに、自社がデータ分析会社を雇わなければならない理由はあるのか、というわけだ。

 一時期はたしかに、その潮流が進んでいるように見えた。2009年にネットフリックスは、最も優れた推薦アルゴリズムを開発したチームに賞金100万ドルを与えるコンテストを開催した。勝利したチームのメンバーは別々の会社に所属し、住んでいる地域さえ異なっていた。

 しかし結局、ブラウンは半分だけ正しかったことが判明する。

 ギグエコノミーは大きな成長を遂げたが、その大半は単純労働によるものだ。運転(リフトやウーバー)、配達(ドアダッシュやポストメイツによる食品や荷物の配達)、単純な用事(タスクラビット)などである。エンジニアやコンサルタント、経営幹部といった知識労働者のための活気あるギグエコノミーは、あまり具現化していないのだ。