●現状を把握する
子育てしながら働く社員に優しい職場だと評価されている会社だからといって、オルタナティブな働き方が主流だとは限らない。出産後に職場復帰すると出世コースから外されるマミートラックに直結したり、マネジャーの考え方に左右されたりすることがよくある(ある部署で機能している制度が、あなたの部署でも機能するとは限らない)。
これまでに代わる働き方を申請・提案する際には、社内を見渡し、同僚と情報交換して、予想される許容範囲や障害について人事からも情報を得ておこう。
・上級リーダーは理解できるのか。上層部には、小さい子を持つ親やデュアルキャリア・カップルはどれだけいるだろうか。仕事と家庭の両立について、彼らからどのような暗黙のメッセージが送られているだろうか。
・どのような勤務形態なら認められるのか。「金曜日は在宅勤務」だけなのか、それともほかにも当たり前になっている働き方があるか。どの部署あるいは役職が承認するのか。マネジャーによって許容度に差があるか。
・制度を利用している社員はどうなっているか。どのように重要な仕事を任され、昇進しているのか。シニアレベルの援助者はいるか。返り咲くプランや、その他の支援体制はあるのか。
●価値ある提案をする
認められている勤務形態を軸にして、働き方を組み立てよう。そして、仕事に対するコミットメントを証明する方法が一つではないことを上層部に気づかせよう。
・バリュー・プロポジション(顧客への提供価値)をつくる:会社の収益、利益、生産効率、コストに対するあなたの貢献を分析し、提案に結びつける。たとえば、あなたがパートタイムで働くことによって外注費が100万ドル浮き、週3日リモートで働くことで30万ドルの売上げが立ち、水平異動によりコストをかけずに派遣社員の穴を埋められる、といったことだ。知恵を働かせ、財務担当の知り合いにもアイデアをもらおう。
・労働時間ではなく成果について話し合う:仕事の話になると、どれだけの時間と労力をかけて、どれほど忙しいかに終始する風土を持つ組織が多い。そうではなく、あなたの効率的な働き方、経営資源の革新的な活用法、創造的思考のスキルに注目させる(報酬を時間当たりいくらではなく、成果に基づいて請求するコンサルタントになったつもりで)。人事考課では、あなたの業績をアピールし、昇給や賞与の理由を挙げる。どれだけ会社の利益に貢献しているかに会話を誘導する。
・得たいものを守る:時短を望んでいる人は、合意した時間を超えて惰性で仕事をしたり、時短を補おうとして就業時間中、消耗するほど狂ったように働いたりしてはいけない。水平異動した先で忙しさを緩和したい人は、昇進につながるスキルが身につく場合、あるいは重要なステークホルダーが注目していることを確認できた場合にのみ、新しいプロジェクトを引き受ける。自分の裁量で動くときは選り好みすること。
・当たり前にする:オルタナティブな働き方は正しくないと感じさせるそぶりは避けよう。夕方以降の時間や日曜の朝に仕事の都合がつかないからといって、同僚に謝らないだろう。それと同じで、「ふつうの」就業時間に仕事をしないからといって謝る必要はなく、いつなら対応できるかを伝えるだけでよい。「月曜日はできませんが、火曜日の9時から14時までなら空いています」「金曜日までにやっておきますが、それで問題ありませんか」。そして、プロらしい言葉遣いを心掛けよう。「(家で仕事をするではなく)リモートで仕事をする」「(車に乗っていますではなく)移動中です」
・キャリア支援を求める:シニアレベルのメンターを見つけ、オルタナティブな働き方が成果につながっていることを宣伝する。人事評価を決める会議の前にマネージャーに根回しして、自分を擁護するための材料をインプットしておこう。意思決定者に、自分が有力候補者向けのリーダーシップ研修やリソースに興味があることを知らせよう。