たとえば、レストラン業界はロックダウンに大打撃を受け、多くの経営者が完全な閉店さえ考えている。

 レストランの一般的なイメージは、厨房の隣に客席がある。しかし実は、さまざまなビジネスモデルによって、さまざまな方法で厨房から顧客に商品を提供することができる。イートイン、テイクアウト、デリバリー、ケータリングは、そのほんの一例にすぎない。

 メニューの選択肢を限定して、週あるいは月単位で一定数の食事を提供する定額サービスも、一つの方向転換だ。常連客の需要を管理することにより、その利幅を増やすことができるだろう。

 あるいは、調理済みの料理だけでなく、自宅で調理や仕上げができるように副菜や付け合せの材料を提供する。手順を説明する動画サイトのリンクを顧客に送信すれば、体験と学習の要素を取り入れることもできる。デリバリーは、1週間に数食分で十分な規模のビジネスになるだろう。

 いずれの方向転換も、ビジネスモデルの多様化につながり、在宅のリモートワークが長期的な傾向になる場合は特に、レストラン業界の恒久的な特徴になるだろう。

 今回のコロナ危機は、スーパーの棚が空っぽになるという不気味な映像が物語る通り、サプライチェーンの崩壊を招いた。その空白は、小規模農家に独自の機会を与えている。

 ロックダウンの間にレストランや専門店への売上げが激減した経験から、多くの小規模農家が、在宅の消費者のニーズに照準を合わせている。この方向転換には、情報技術、マーケティング、ロジスティクスへの投資が必要で、サプライチェーン短縮の流れが加速すれば、長期的に利益を生む可能性がある。

 カナダ発の電子商取引プラットフォームのショッピファイにも、農家や地元の小売店が押し寄せている。ショッピファイは売り手と買い手の距離が15マイル未満という取引で強みを発揮しているが、オンライン市場では、このようなセグメントはアマゾンなどの超大手プレイヤーに基本的に無視されてきた。

 ショッピファイの重要な方向転換は、売り手の経費管理、請求書の支払い、キャッシュフローの問題点の予測、配送の最適化を手助けするような、包括的なクラウドベースのサービスを提供するようになったことだ。

 既存の大手企業も、今回の危機の最中に方向転換をしている。消費財大手のユニリーバは、生活必需品の需要の急増を受けて、スキンケアなど需要が落ち込んでいる製品より、加工食品、表面用のクリーナー、個人用衛生製品のブランドを優先するようになった。

 これらの転換のうち、どれが恒久的なものになるかは、まだわからない。リモートワークがさらに増えれば、いくつかの重要な転換は引き続き効果が見込めるかもしれない。家庭内消費への移行は、食品ブランドだけでなくパーソナルケア製品も、みずからを再定義するリポジショニングを迫られるかもしれない。