
グローバル化の進展により、サプライチェーンはより長く、より複雑になった。川下に行くほど自然と関係性が薄まり、上層部が存在そのものを把握していないケースも珍しくない。だが、どれだけ遠くのサプライヤーの悪評であっても、消費者はあなたの会社に対する信頼を損ね、顧客ロイヤルティを低下させる要因になりうる。
企業がよくない行動を取ると、消費者は間違いなくそれをクチコミで広め、時には不買運動まで起こす。しかし我々の最近の研究で、悪いニュースは別のルートでも企業に害をもたらすことが明らかになった。悪いニュースの出どころが、その会社自体ではなくサプライチェーンであっても、消費者は反応するのだ。
サプライチェーンで何か悪いことがあると、たとえ製品の品質に関わりのないときでも、消費者は会社の製品の品質が落ちたと思い込む可能性が高いことがわかった。これはトリプルボトムライン(TBL)すべてに共通する事象である。すなわち、サプライチェーンの問題が経済問題であれ(たとえば幹部による横領)、社会問題であれ(たとえば不公平な賃金)、環境問題であれ(たとえば汚染)、消費者は製品の品質が低下したと見なすのだ。
過去30年間で、サプライチェーンのグローバル化は著しく進んだ。アウトソーシングやオフショアリングによってサプライチェーンは広がり、複雑さや混乱の度合いを増す一方である。
地理的にも複雑さにおいても、サプライチェーンが長くなればなるほど、どこかで不具合が生じる可能性は高くなる。
グローバル・サプライチェーン担当マネジャーが気づいてさえいないリスクも含め、業務上の失敗が起きるリスクと可能性が数多くある中、サプライチェーンのどこで、いつ、何がうまくいかなくなっても不思議ではない。しかもソーシャルメディアの台頭のおかげで、それは確実に消費者の耳に入る。