デジタルを現場に根付かせる「対応力」
── NTTデータという企業自身も、書籍中で定義されている既存大企業です。

コンサルティング&マーケティング事業部 ソリューションコンサルティング統括部 部長
中央省庁向けシステムのSEを経て12年以上にわたりデータ活用のコンサルティング・導入・定着化に従事。2007年より同社北米拠点にて現地企業へのビジネスインテリジェンスの導入に従事、その後一貫して、グローバル企業のBI・データウェアハウス導入の構想策定・導入・定着化コンサルティングを担当。2016年より現職でData & Intelligenceコンサルティングチームを所掌。
新田:おっしゃる通りです。そして、当然ながら当社もお客さま企業と同じ課題を抱えています。システムインテグレーション(SI)業界においても、SaaSの急拡大やスタートアップの台頭でビジネス環境は激変しました。加えて人材マーケットの流動性も増し、大規模プロジェクトにおける人材調達力やリスクテーク力、スクラッチ開発の技術力、プロジェクトマネジメント力など、規模を前提にした従来の競争優位性をかつてほど発揮できなくなっています。
そこで「顧客価値リ・インベンション戦略」で提案しているように、お客さま企業の「真の課題」の理解と解決に日々取り組んでいます。私たちのようなSI事業でこれを実践するためには、RFP(Request for Proposal:提案依頼書)の提示範囲からさらに踏み込んで、お客さま企業、特に経営者の立場から戦略、業務、課題の全体像を理解することが重要です。その上で、デジタルを活用することで継続的に提供価値が向上できる仕組みを構築し、運用面でも「価値最大、コスト最小」となる業務分担を進めるのです。
同時に、私たち自身のビジネスにもデジタルを活用し、価値を向上させていく取り組みが欠かせません。営業活動をデジタルデータで記録してデータドリブンで改善し、運用サービスに最新テクノロジーを導入して高度化していく、といった試みを、まずは自社から積極的に実践しています。
── 他社と比較したNTTデータの強みはどこにあると考えていますか。

コンサルティング&マーケティング事業部 事業部長
ITグランドデザイン、システム化基本構想策定、業務改革、新サービス企画、IT組織改革・人材育成などで豊富な実績あり。最近は海外グループ会社やデザインファームなどとも連携したデジタルトランスフォーメーションのコンサルティングに注力。インダストリーでは、エネルギー・ユーティリティー(石油、電力、ガス)をはじめ、製造業、小売業での実績も多数あり。2020年7月より現職。
菊山:当社以外にもSIerやコンサルティングファームは無数にありますし、それぞれ固有のケイパビリティーを生かした優れたサービスを提供されていると思います。
その中で、私たち自身が日本国内での事業を起点に、そこからグローバルに展開している大企業であることを強みの一つと捉えています。だからこそ、お客さま企業の真の課題を、より「自分ごと」として深く理解・共感して、その解決に最後まで寄り添っていくことができると考えています。
そして、さらにNTTデータならではの特色といえば、やはり社会インフラを支える大規模システムの構築、運用経験の多さではないでしょうか。そのため、多数のステークホルダー間の利害調整や、業務とITを横断した大規模プログラム運営のノウハウを豊富に蓄積しています。
デジタルプロジェクトをビジネスの現場に着地させるためには、錯綜する利害関係を解きほぐして説得したり、調整したり、という地道で手間のかかる作業が不可欠です。「デジタル」という言葉のイメージにはそぐわない泥くさい部分ですが、実はプロジェクトの成否は、逃げずにそこに向き合えるかどうかに懸かっているのです。リアルな困難に直面しても諦めずに責任を持ってやり抜く姿勢までを含めた対応力こそがNTTデータの強みと自負していますし、実際に取引のあるお客さま企業からもこの点を評価してくださる声が多いです。こうした蓄積で築いた信頼を生かしながら「顧客リ・インベンション戦略」でお客さま企業のDXをこれからも支援していきたいと思います。