
人種差別への抗議行動が世界中に広がる中、企業は活動を支持したり連帯を表明するメッセージを発信したりしているが、それだけでは足りない。消費者から求められているのは、有言実行だ。しかし、社会的不正義に対してメッセージを出すには、相当の配慮が必要となる。ありきたりの言葉では偽善行為、あるいは売名行為と見なされ、業績に深刻な影響を及ぼす危険さえある。本稿では、企業が謙虚な姿勢と本気度を伝えるための4つの手法を提示する。
現代の消費者は、政治的にも社会的にもこれまでになく意識が高まっている。なかには、オーディエンスを遠ざけることを恐れて行動を起こすブランドもあるが、米調査会社モーニング・コンサルトの最近の調査によると、もはや単に「正しいことを言う」あるいは「連帯して立ち上がる」だけでは、消費者の期待には応えられなくなっている。消費者はブランドに、有言実行を求めているのだ。
人種差別に対する抗議が世界中で続いている現在、企業は差別を公然と非難すると同時に、ダイバーシティとインクルージョンへの取り組みを強化する重圧にさらされている。最近、企業がさまざまな形でこの要求に応えている例を見てきた。
2020年5月に黒人男性のジョージ・フロイドが白人警察官によって殺された後、抗議活動への支持や連帯を表明する短いメッセージをソーシャルメディアに投稿した企業もあれば、さまざまなチャネルを使って全面的なマーケティングキャンペーンを開始した企業もあった。
その手法はさておき、企業が時事問題についてメッセージを出す時は、慎重な配慮が必要だ。社会的不正義や政治的に二極化している問題が絡む場合は、なおさらである。
デジタル時代に入り、企業のウェブサイトやソーシャルメディアには、膨大な変更履歴が残されるようになった。消費者は少し手間をかければ、どのブランドが口先だけで、どのブランドが本当にその大義を大切だと思っているか調べるのは簡単だ。ダイバーシティや平等な権利への取り組みについて、不誠実あるいは不正確な発言をすれば、たちまち嘘を見抜かれて嘲笑され、インターネット中にさらされるおそれがある。