Illustration by Asia Pietrzyk

フォロー・ザ・サイエンス――新型コロナウイルス感染症の問題は、何より科学的知識をもって解決せよとした2020年を象徴するフレーズだ。しかし、感染拡大が加速しても、政治的な検討を遅らせた結果、経済面をはじめさまざまな惨事を招く結果となった。ここから得られるのは、解決すべき課題の性質によって、必要となる思考様式が異なるという教訓だ。古代ギリシャの哲学者アリストテレスは知識を3つの領域、すなわち「テクネー」「エピステーメー」「フロネシス」に分けている。リーダーが課題に対処するためには、まずその性質を見極め、これらのどの思考様式が適切かを判断しなくてはならない。


 あなたがみずからのリーダーとしての資質を強化したいと考えているとして、具体的にはどのような能力を育むべきなのか。この点では、2020年の新型コロナウイルス感染症による危機の経験が重要な教訓になる。

 コロナ禍を通じて見えてきたのは、リーダーにとって、目の前の課題に対処するためには、どのような思考様式なのかを見極める能力が欠かせないということだ。