パフォーマンスを評価する
ルールや指標がない

 筆者はMBA課程でファイナンスとサステナビリティを学び、卒業後の2008年にサステナリティクスで仕事を始めた。当時は、企業のESG(環境、社会、ガバナンス)パフォーマンスを評価するビジネスはかなりニッチだった。当社のオフィスはトロントだけで、わずか20人の従業員が300社の評価報告書を作成していた。対象企業は、トロント証券取引所に上場しているカナダ企業が中心だった。

 今日では、北米、欧州、アジア、オーストラリアの拠点で650人の従業員が数万社を対象に、ESGに関する評価やリサーチを行い、データを提供している。しかも、当社だけではなく、大手調査会社数社に加え、規模の小さい数十社がサステナビリティに関するデータを提供している。

 この間に変わったのは、当社の事業規模や報告書の数だけではない。それ以上に、当社などのESG評価機関によって提供される、評価結果の活用方法が大きく変わった。投資決定プロセスで活用されるESG情報は劇的に増えた。