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人を説得するのは簡単ではない。提案がどれほど素晴らしく、その内容を論理的に伝えたとしても、それだけでは相手の心に響かない。信頼を勝ち取り、聞き手の気持ちを奮い立たせるには、良質なストーリーを語る必要がある。本稿では、そのために有効な5つのポイントを紹介する。
「新しい目標設定の枠組みを導入します」――筆者の顧客である大企業幹部の一人は、自社でOKR(目標と主要な結果)を導入するに当たって、社員の士気を高めたいと考え、このように訴えた。
しかし、お察しの通り、社員の反応は冷めたものだった。「なぜ、いま新しい目標設定のシステムが必要なのか」と、マネジャーたちや一般社員たちは不満を述べた。「この新しいシステムは、私の評価にどのような影響を及ぼすのか。それにより、私が昇進のルートからはずされることはないのか」
問題は、この時の提案そのものにあったわけではない。欠けていたのは、その幹部のストーリーテリングだった。
あなたが自分自身とみずからのアイデアへの信用を育みたければ、説得力のあるストーリーを語るべきだ。聞き手の気持ちを奮い立たせ、組織を牽引するためには、そのようなストーリーテリングが欠かせない。
あなたが説得したい相手が1人の同僚であろうと、1つのチームであろうと、1人の幹部や1人の採用担当者であろうと、あるいはあるシンポジウムに集まった聴衆全体であろうと、カギを握るのはいつもストーリーテリングだ。
私はこれまで講演や出版の仕事に携わり、4冊の著書と多くの論文を執筆してきた。その経験から言うと、私が過去に語ったストーリーの中で特に有効だったものは、ことごとく以下の5つの要素を持っていた。